Natural Air Ventilation 自然換気システム

自然換気システム

自然換気システムARM-S@NAVでは、「風をつかむ」「風の道をつくる」「風を制御する」といった技術の組み合わせによって、自然の風を効率よく建物に取り込むことができます.外気冷房効果や中間期の空調負荷低減につながる自然換気は、建物の省エネルギー性を高める効果的な手法です.また、FIX 窓が用いられることの多いビル建築では、心地良い自然の風や街の音が在室者に与える良好な心理的効果が着目されています.

自然換気の駆動力

自然換気の駆動力としては、風力と重力があります.
風は圧力の高いところから低いところへ流れます.建物の自然換気において、圧力差を生み出す駆動力は風力と温度差に大別され、それぞれ風力換気、重力換気と呼ばれています.

風力換気では、一般的に風によって発生する圧力差( 静圧) を利用しています.閉鎖された建物においては、風上側の圧力が高くなり、風下側や側面との間に圧力差が生じます.建物内部にボイド空間がある場合は、ボイド上下の温度差と上空を流れる風の吸出し効果により負圧が発生し、建物外周部とボイド内部の間に圧力差が生じます.
圧力差の生じる二つの壁面に換気開口を設ける場合(図1)、Po1( 風上側)>Pi( 室内)>Po2( 風下側) の関係が成り立ち、室内を風が通り抜けることになります.なお、風上側から風下側までに複数の空間が連なる場合、外壁に換気開口を設けるだけでは十分な自然換気ができない場合があります.換気経路上の間仕切り壁やドアには、通風窓・ガラリ・アンダーカットなどを設置して風の流れを妨げない計画とすることが必要です.(図2)
重力換気では、室内外の温度差によって生じる気圧差を利用します.換気開口の下部より取り入れられた冷たい空気は室内で暖められて軽くなり上昇気流が生じます.高さの差が大きいほど温度差も大きくなるため、上下に換気開口を設置することや換気開口自体をたて長にすることが有効です.(図3)

圧力換気・■重力換気
自然換気システム ARM-S@NAV
特長

風をつかむ/ウィンドグラブ

風をつかむ/ウィンドグラブ

風上・風下の圧力差を利用する従来の風力換気方式では、建物の一面に換気開口を設ける方法( 一面換気) での効率的な自然換気は困難とされてきました.ARM-S@NAV では、建物に衝突した風が壁面に沿って流れる横風に変わることに着目し、この横風を捕えるウィンドグラブによって風の運動エネルギーを利用した一面換気が可能となっています.

ウィンドグラブ
ウィンドグラブ
独立給排気タイプ
一体給排気タイプ

風を抑える/定風量機構

風を抑える/定風量機構

定風量機構とは、風路内に風量調整弁を設置することにより、強風になった時にでも室内へは一定量の流量となるように制御されている機構のことです.風量調整弁は、風を受けると、その風の強さに応じて風路の広さを調整します.風が弱いときには全開状態ですが、強風になればなるほど、風路を閉じる方向に動きます.(図A)
一般的に換気能力は圧力差P(Pa)と、その時の流量Q(m²/h)との関係(P-Q特性グラフ)により示します.図Bでは、単純開口モデルと定風量機構モデルのP-Q特性の違いを示します.開口が同程度のサイズの両モデルとも、圧力差が小さい場合はその開口サイズに応じて流量が増加します.しかし、ある強さを超える風になった時点から、単純開口ではそのまま流量も増加しますが、定風量機構では風量調整弁が閉鎖方向に働き、流量を制御していきます.
定風量機構は外部で強風となった場合でも、室内へは不快な風の吹き込みがなく、また、開口を閉じる方向に作用するため雨の入りにくい構造といえます.

高さ別風速イメージ
図-A
図-B

対応部位一覧表

対応部位一覧表